躁うつ病とは

躁うつ病のイメージ画像

躁うつ病は、うつ病でみられる抑うつ状態(気分が落ち込む など)だけでなく、この症状とは正反対の躁状態(気分が高揚している)も現れる病気を言います。このように両極端な症状がみられることから双極性障害とも呼ばれています。

躁状態だと、本人は元気がみなぎり、気分は爽快であると感じることが多いです。上機嫌で饒舌となるほか、頭の中から次々と色々なアイデアが出るようになって落ち着きがなくなります。また、気分が高揚していても、急に不機嫌になるなど、変動も目立ちます。なお患者様自身には病気の自覚がなく、むしろ調子が良いと感じて自らの行動や振る舞いが異常だと気づきにくいことも多いです。一方のうつ症状というのは、うつ病で見られる症状と同様です。

この躁うつ病は、躁状態とうつ状態が繰り返されるわけですが、躁からうつ、うつから躁へと変わっていく間というのは正常なことが多いですが、ごくたまに正常になることなく切り替わることもあります。発症の原因については、現時点では完全に明らかとはなっていませんが、うつ病よりも遺伝的な要因が強いとされています。

躁うつ病のタイプ

またこの病気は、主に3つのタイプ(双極Ⅰ型障害、双極Ⅱ型障害、気分循環性障害)に分類されます。双極Ⅰ型障害は、はっきりした躁状態が見られ、周期的にうつ状態と繰り返している場合を言います。双極Ⅱ型障害は、比較的軽くて期間の短い躁状態とうつ状態が繰り返されている状態です。また、躁状態とは診断できない程度の軽度の気分の高揚と、軽度のうつ状態を繰り返している場合は、気分循環性障害と診断されます。

治療について

うつ病と同様にまず休息をとるようにします。そのうえで、薬物療法や精神療法を行っていきます。

薬物療法では、気分安定薬や抗精神病薬がよく処方されます。これらは気分が上下に大きく乱れている際に用いるものですが、躁状態でもうつ状態でも効果が期待できます。ちなみに抗うつ薬を内服すると、かえって気分が不安定になることがあるため、患者様がうつ状態であったとしても抗うつ薬の使用は避けることが多いです。

また薬物療法に合わせて、うつ病と同じように精神療法(認知行動療法 など)も行っていきます。患者様が、自身の気分の上がり下がりの傾向を自覚して、うまく対処できるようになることを目指すことがとても大切です。そのために睡眠時間や活動量の変化と、気分の状態との関係などを普段から観察して、傾向を把握しておくことは有意義です。それに加えて、例えば躁の時に思いつきで生活を変え過ぎない、うつの時に先行きを悲観し過ぎず、うつの波がやがて去っていくイメージを持つこと、など大切なことです。