強迫性障害とは

強迫性障害のイメージ画像

患者様自身も無駄な行為だと頭の中ではわかってはいるものの、強迫観念という心配や疑念、不吉な予感といったものに頭の中が支配されてしまい、それを振り払うための行動をするようになります。これを強迫行為と言います。強迫行為で不安を打ち消したつもりでも、しばらくするとまた強迫観念が浮かび上がってきて、強迫行為を繰り返すようになります。これを繰り返すことで、日常生活に支障が出ている状態を強迫性障害と言います。

例えば、強迫性障害の患者様が外出をする場合、1度戸締りを確認しても強迫観念が生じてしまい、それを払拭するためにもう一度戸締りを確認するという強迫行為を行ってしまいます。これで安心かと思えば、また少し時間が経過すると強迫観念が現れて、強迫行動を繰り返す…。このやり取りで多大な時間を費やし、学校や職場に遅刻する、あるいは外出そのものをしなくなるなど、日常生活に影響が出るようになります。

強迫性障害でよくみられる症状(例)

  • 汚れや細菌汚染を恐れて何度も手洗いや洗濯、入浴などを繰り返す(不潔恐怖)
  • 何度も窓や玄関のカギ、ガス栓、電気器具のスイッチなどを確認する(確認行為)
  • 誰かに危害を加えたのではないかと心配になり、通って来た道を戻って確認する(加害恐怖)
  • 自分の決めた回数や手順に沿って物事を行わないと不安になり、それに従う(儀式行為)
  • 物の位置や左右対称性、数字などにこだわりがあり、それから外れると不安になる(物の配置や対称性、数字などへのこだわり) など

発症の原因について

原因については、完全に特定されていません。脳内の神経伝達物質であるセロトニンの異常が指摘されていますが、まだはっきりとはわかっていません。前触れがなく、突然発症することもありますが、多くの場合は何らかのストレスとなる出来事があってから起こると言われています。なお欧米では、全人口の1~2%の割合で強迫性障害の患者様がいるとされていますが、日本でも同じ程度の割合の患者様がいるのではないかと考えられています。

治療について

治療は薬物療法と精神療法(認知行動療法)があります。

薬物療法では一般的に抗うつ薬(SSRI)を用います。 精神療法では認知行動療法のひとつである曝露反応妨害法を行っていきます。これは、再発予防効果が高いとされています。無意味だと感じていても、半ば儀式化して繰り返してしまっている強迫行為について振り返り、どのような不安・強迫観念を打ち消そうとして行っているのか行為の意味を掘り下げます。その上で、パニック障害の治療と同様に、段階的曝露を行います。強迫観念が生じやすい状況にあえて直面し、不安が高まっても強迫行為で発散させないようにする、不安を打ち消すのではなくて不安に慣れることを目指すというものです。とても難しい、恐ろしい治療のように感じられるかもしれませんが、最初は、比較的抵抗感が低い状況への曝露から始めて、少しずつ刺激を強くして慣れることで強迫行為を減らしていきます。焦らずに取り組むことが必要になります。当院の院長は、千葉大学病院で強迫性障害外来を担当していました。強迫性障害にお悩みの方は、ぜひご相談ください。