不眠症

不眠症とは

不眠症は、睡眠時無呼吸症候群（SAS）、睡眠関連運動障害（むずむず脚症候群 等）、過眠症などとともに睡眠障害のひとつで、この中でも最も患者数が多いとされているものです。

不眠症では、実際の睡眠時間だけで診断することはありません。3～4時間の睡眠でも問題ないという方もいれば、8時間以上寝ていても睡眠不足と感じる方もいます。睡眠時間に関係なく、本人が睡眠に問題があると感じ、それによって何らかの症状が現れている状態を言います。

不眠症と言っても、人によって悩みが様々であることから、大きく次の４つのタイプに分類されています。もちろん、複数の不眠のタイプにまたがって悩む方もいらっしゃいます。

不眠症4つのタイプ

入眠障害

寝つきが悪く、床について30分～1時間以上経過しても眠れない状態を言います。不眠症の中でも最も多いタイプです。ただ一度眠りにつくことができれば、朝までぐっすり眠れます。

中途覚醒

眠りにつくのに問題はありませんが、起床時間までに何度も目が覚めてしまう状態を言います。

早朝覚醒

起床予定時間よりも2時間以上も早く目が覚めてしまい、以降起きなくてはいけない時間までに眠ることができなくなります。

熟眠障害

睡眠時間は十分でも、常に眠りが浅いことから熟睡感が得られず、充実した睡眠ができていないと感じています。

不眠症の原因

原因に関しては、次のようなことが挙げられます。ひとつは身体的な要因です。具体的には、加齢、病気、頻尿、痛みやかゆみといったものです。また、ストレスや緊張、抑うつ状態といった心理的な要因も考えられます。そのほか、生活習慣の乱れ（多量の飲酒やカフェインを摂り過ぎている、喫煙、交替制勤務などによる睡眠時間のばらつき など）、寝る直前までスマートフォンなどでインターネットをしている、常用薬の影響、周囲の環境（騒音、光がまぶしい、暑いなど、安眠の状態が整っていない）も考えられます。

治療について

治療に関してですが、不眠の原因を特定することが大切です。身体や心の病気、あるいは薬剤が不眠症を招いているのであれば、それに対する治療や対策を行っていきます。

薬物を使用しない非薬物療法では、主に生活習慣を改善させることが中心となります。具体的には、ストレスが原因であれば、気分転換を図るストレス解消法を実践する、飲酒や喫煙をされる方は禁酒や禁煙に努める、スマートフォンを四六時中触っている方は就寝1～2時間前は止めておく、睡眠のリズムを整えるために朝のうちに日光を浴びるなどしていきます。なお高齢になると睡眠も変化し、早寝早起き型に変わっていきます。そのため、まだ時間が早いからと無理に寝床のままでいると、寝つきが悪くなる、中途覚醒が増えるといった状態にもなりやすいので、眠気がなければ起きてしまった方が良いです。

生活習慣を変えただけでは不眠が改善しないという場合には、必要に応じて睡眠薬を処方します。使用する薬は、できるだけ副作用が出にくく、服用を止めやすいタイプの非ベンゾジアゼピン系睡眠薬やメラトニン受容体作動薬などが選ばれます。不眠が改善したら、薬を減らしたり中止していくわけですが、これは医師と相談しながら進めることが大切です。なぜなら、せっかく不眠が改善していても、急激に薬を減らし過ぎること自体で、反動で不眠が生じてしまうことがあるからです。計画的に薬は減らして行きましょう。服用が止められるようになっても眠りやすくするための生活習慣の改善は続けていきます。